好奇心の赴くままに

創作活動について…とか

「にじめぐり。」京都編の没入感が凄かった件。

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はじめに

  「にじめぐり」というアプリを知っていますか? 「にじさんじ」に所属するライバー(主にYoutubeなどでLive2dモデル・3Dモデルを利用して配信する人達のこと)と一緒に、各地を観光することのできるアプリです。SONYのSound ARという技術を使って、各地で様々なライバーの実況を聞くことができます。

 ただ、この説明を聞いて「位置情報に合わせて音が流れるだけでしょう」と思った人は少なくないはず。私もその一人でライバーの実況が流れるだけなんて、ARシステムとしてはどうなんだろう……とか思っていました、実際に体験するまでは。

 実際に体験してみて、観光×ARの組み合わせとしてはボイスを聴くだけという方法は有効ではないのかと思いました。また、現実世界と仮想世界の重ね合わせにそれらの境界が曖昧な存在であるライバーを選んだのは、没入感の向上に一役買っていました。ARで没入感を高めるためには、どうしても技術的な問題ばかり追求してしまいますが、読書でも没入感を得ることがあるように、想像力を掻き立てることも同程度に重要なことを思い出しました。このレポートでは具体的にどんなところが素晴らしかったのかと、「にじめぐり。」をより没入感を持って参加するために個人的に重要なポイントを説明します。

 

「にじめぐり」の素晴らしい点

聴覚からの情報に限った点

 観光×ARというコンセプトで作られたアプリケーションでは、スマートフォンを利用した3dオブジェクトの提示が一般的です。この方法も建造物の過去の状態が確認できるなど利点はたくさんあります。ただ、一つ大きな難点があります。それはスマートフォンを掲げ続ける必要があること。スマートフォンでARアプリを起動しているうちに、その土地以上にスマートフォンに集中してしまうなんてこともありがちだと思います。

 対して、「にじめぐり。」は耳からの情報だけなので、目の前の景色は無視してスマートフォンに夢中なんてことは起こりません。その代わり、視覚的には情報が一切ありません(カメラを利用してライバーのイラストとその街の景観を撮ることは可能)。体験前はこの部分が少し気になっていて、ライバーが話している姿を見れたらいいのにと思っていました。ただ、体験後の今となっては、ARグラスが普及していない現在にスマートフォンでそんな機能を追加したとしても、スマートフォンに集中してしまってかえって没入感が失われてしまうような気がしています。現実世界が疎かになってしまってもいけないということだと思います。

ライバーという曖昧な存在が選ばれたこと

 仮想世界と現実世界の境界が曖昧な存在であるライバーが、街の中で実況してくれるというコンセプトも没入感の向上に繋がっているのではないかと考えています。一番分かりやすい例としては、「本間ひまわり」「樋口楓」と言ったバーチャル関西に住んでいるライバーが、過去にライブを行った「ロームシアター京都」や「みやこめっせ」について語る場面が挙げられます。バーチャル関西に住んでいる彼女達が、今目の前に建っている建造物での体験について詳細に語ることによって、仮想世界と現実世界が曖昧になって彼女達が一緒にいるかのような没入感を得ることができます。これが現実世界に存在する人間であれば、彼らは実際にはこの場所にいないことを意識してしまうのではないでしょうか(多分)。アニメキャラより実体感があり、現実世界に存在する人間より曖昧な彼らだからこそまるで隣にいるかのような没入感が味わえました。

時々挿入されるボイス

 「にじめぐり。」では、時折ライバー達から目的地に着いていなくても話しかけられることがあります。内容は、これから行く観光スポットの打診や休憩をすることの促しなどです(どうでもいいことですが、休憩するボイスに従って本当に休憩していると、目的地にまず着きません)。ランダムに挿入されるボイスは、思っていた以上に没入感の創出の手助けになっていました。なぜなら、このボイスが流れることによって、場所に向かってある意味スタンプラリー的に移動するだけの行為が、ライバーと共に散策するという行為へ変化するためです。つまり、単なるコンテンツからコンテンツへの移動から、一つの大きなコンテンツへと変化するわけです。よっぽど五感に訴えかけるコンテンツ以外は、短時間での没入感の創出は難しいため、このボイスが挿入される効果は絶大だと思いました。

 

没入感を高めるための個人的ポイント

全ての目的地を一度に回ろうとしないこと

 「にじめぐり。」のチュートリアルボイスでは、OPENING VOICEで「剣持刀也」に全目的地の制覇を勧められるのですが、没入感を重視する方はこれを無視、あるいは長期的な目標として捉えましょう。全目的地の制覇を目標とする場合は、第一目標がライバーの実況を聴きながら観光から、ライバーの実況を集めることへと変化してしまうためです。こちらを目的とされる方は白薔薇さん()がおすすめルートを紹介しているので、そちらを参考にするといいと思います。あくまで観光しながらライバーの実況を聴くことを目的としている方は、没入感を高めるためにも観光に主軸を置くといいと思います。具体的なルートを決める指針としては、推しが参加している目的地を回ることや、行きたい場所に存在する目的地を回ることがおすすめです。ライバーの実況を聴きながら新たな発見をしたり、おすすめされた展示をゆったり観に行くことも「にじめぐり。」を楽しむ上で重要だと思います。

観光を蔑ろにしないこと

 「にじめぐり。」では様々な目的地を巡ることになるのですが、きっと興味がないものもあるはず。ボイスだけ回収したら別のスポットに行こうという考えもあると思うのですが、立ち止まってライバーが観光したであろう場所を巡ることで新たな発見があるかもしれません。「この場所は〇〇が好きかもしれない」みたいな連想も没入感を高めてくれると思います。

可能なら一人で行くこと

 これは個人的な主観が多く含まれるのですが、移動途中に流れるランダムボイスを遮られないことや、自分の推しが登場する目的地を優先するなどのために一人で体験した方が没入感は得られるのではないかなと思いました。行く目的地に掛けたい時間も個人によってかなり異なるので、一人の方がそういった意味でも自由が効くかもしれません。ただ、自分の感想をすぐに共感してもらえるという点では、誰かと一緒に行った方がいいかもしれません。

終わりに

 「にじめぐり。」が想像以上にコンテンツとして優れていたので、これはブログに書かなければ!と思い、記事におこしました。参加ライバーのリスナーであれば、必見のアプリケーションですので京都に丁度行く予定がある方は是非インストールしてみてください! 実際、どんな風景や展示を見ることができるのかについては、またアップします〜。